Linux 上でTeXを扱う際にも、さまざまなTrueTypeフォントを同じ文書で用い、 ちょっと表現力を増した文書を作成したいな、と思うことがあるでしょう。
ここでは、乙部先生のaddjfonts.styを用いて多書体環境を構築する方法につ いて述べたいと思います。
なお、前準備として、makejvfというソフトをインストールしておく必要があ ります。makejvfには makejvf-fkr などがありますが、私は
ftp://ftp.ascii.co.jp/pub/TeX/ascii-ptex/jvf/makejvf-1.1a.tar.gz
を用いました。解凍後、解凍したディレクトリに移動し、そこにMakefileが あることを確認し、makeコマンドを実行し、出来上がった実行ファイルをPATHが 通ったディレクトリにコピーするだけでしたが、具体的なインストール手順が残っ ていないので、具体的なコマンドの解説まではできません。
以下に述べる方法は、freetype対応のxdviを用いて多書体を表示させる方法 です。ただし、この項目までの方法では、多書体印刷をすることができませんの で気をつけてください。
まず、多書体を簡単に扱うためのパッケージであるaddjfonts.styは以下の Webページに置かれた圧縮ファイルwabun.lzhの中にあります.
http://argent.shinshu-u.ac.jp/otobe/tex/packages/files/ttnfss/wabun.lzh
LZH圧縮ファイルを解凍するためのソフトである、lha というコマンドがインストールされていれば、
$ lha x wabun.lzh
などとして展開しておきます.
ここでは、無料 で公開されている手書きTrueTypeフォントである「みかちゃんフォント」を例に して説明します。「みかちゃんフォント」は以下の場所で公開されています。
http://mikachan-font.com/index2.html
これをTrueTypeフォントの置かれたディレクトリにコピーし、そのディレク トリにあるfonts.dirを更新します。このあたりの方法はLinux入門書などを参照 してください。(なお、Plamo Linux 3.3ではデフォルトで「みかちゃんフォン ト」が使えるようになっています。)
texmf/fonts/tfm/ptex 中のjis.tfmをmika.tfm,jis-v.tfmをtmika.tfmという名 前でコピーし、/usr/local/teTeX/share/texmf/xdvi/vfontmap に,
mika /usr/X11R6/lib/X11/fonts/TrueType/mika.ttf
tmika /usr/X11R6/lib/X11/fonts/TrueType/mika.ttf
と記述します。
先ほど解凍したwabun.lzh(この中にaddjfonts.styが入っている) の中にはtexmfディレクトリがあります。 それをTeXをインストールした先にあるtexmfディレクトリに上書きします。これ でaddjfonts.styも適切な場所にインストールされました。
さて、TeXファイルのプリアンブルに、たとえば次のように記述します。
\usepackage{addjfonts}
% #1 family-name
% #2 yoko (horizontal direction) font-name
% #3 tate (vertical direction) font-name
% #4 command name: if this is "foo", \foofamily and \textfoo are defined.
\DefineJapaneseFamily{mikachan}{mika}{tmika}{mika}
addjfonts.styを読み込み、DefineJapaneseFamily命令で、左から、ファミリー名を mikachan、横書きフォントのTFMファイル名としてmika、縦書きフォントのTFMファ イル名としてtmika、後でみかちゃんフォントを指定するために使う「\text〜」 命令の波線部の部分をmikaと決めました。TFMファイル名は、先ほどnewmin.tfm とかをmika.tfmの名前でコピーしたりしたときの、あのmika.tfmの拡張子抜きの 名前です。
あとは、本文で次のようにして「みかちゃん」フォントを指定するだけです。
ねぇ,\textmika{みかちゃん} ,こっち来て遊ぼ!
あとは普通にplatexコマンドを実行し、xdviでプレビューします。すると、\textmikaで指定し た部分(「みかちゃん」という文字列)が「みかちゃん」フォントに変わっているはずです。
PDFをAcrobat Readerを用いて多書体表示させ、さらに印刷まで出来るように しましょう。
以下、奥村先生の
Linux での teTeX,pTeX,pLaTeX2e のインストール
の例の通りにインストールしたと仮定して話を進めます。また、基本的に root権限での作業になると思います。また、みかちゃんフォントのファイル名は mika.ttfに変更しておきます。
まず,/usr/local/teTeX/share/texmf/fonts/vf/ptexにcdコマンドで移動し、
makejvf /usr/local/teTeX/share/texmf/fonts/tfm/ptex/mika.tfm psmika.tfm
および
makejvf /usr/local/teTeX/share/texmf/fonts/tfm/ptex/tmika.tfm pstmika.tfm
を実行します.
ここで生じた,mika.vfとtmika.vfはその場所に置きっ放しにし、 psmika.tfmおよびpstmika.tfmを/usr/local/teTeX/share/texmf/fonts/tfm/dvips/ (dvipsフォルダは作成した)に移動させます.
あとは
mktexlsr
を実行し、/usr/local/teTeX/share/texmf/dvipdfm/config/cid-x.map に,
psmika H :0:mika
pstmika V :0:mika
を追加します.TrueTypeフォントはtexmf/web2c/texmf.cnf に
TTFONTS = .;$TEXMF/fonts/truetype//
と書いてある(Linuxディストリビューションによっては違った場所がしていさ れているかも知れないが)のでその場所に置くと良いらしいです。したがって、 /usr/local/teTeX/share/texmf/fonts/truetype/ に任意のTrueTypeフォント (ここでは mika.ttf) をコピーします.(シンボリックリンクを張るのでも良いかもしれませんが、確認 していません。)
以上のように設定すると,Linuxでもdvipdfmxでフォントの埋め込みができま す.コマンドはいつもの通り実行してください。Acrobat Readerなどでうまく表 示・印刷されればOKです。