パソコンで作った文書は紙に印刷して渡すだけでは能がありません。 デジタルデータのまま渡してあげれば、 その相手は文書から単語等を検索できますし、 必要に応じて印刷することも出来ます。
これから、TeXを使って作成した文書をWebでの公開や特定の人に配布する方法について説明していこうと思います。
しかし、実際に、具体的にTeX文書をどのように公開・配布していくかが、よく分からない方 もいらっしゃるかもしれません。まずは、少し「TeX文書の公開(受け渡し)」について、見ていくことに します。
では、実際にはどのようにTeX文書を受け渡したり、公開したりしていくの でしょうか。とりあえず身近なレベルでの話に限定して考えていきます。
まず、TeX文書の受け渡し方についてはいくつか考えられます。
他にもあるかもしれません。まず、1については特に言うことはありませ ん。最も楽な渡し方です。2はフロッピーディスクで容量が足りなければCD-Rで 渡せばよいです。3はやったことがないので明言は避けますが、Windows 2000やXPではファイル共有機能が強力だといわれています。
4のように、メールに添付して送るのは、最もありがちなパターンでしょう。 相手に直接渡しに出かける必要はありませんので、かなり便利な方法です。しか し、1つ問題があります。ファイルサイズが大きい場合は、あまり大きいファイルを添付すると相手から苦情がきます。(ADSLなど高速回線が普及していなかった昔は150 kB のファイルを送って、苦情が来たことがありますが、今では1 MBくらいでも大丈夫かもしれません。)
5の方法はとても魅力的です。5はやり方になれてさえいれば比較的利用しやす い方法といえます。「ウェブサーバー(Web server)」というシステムの中にファイルをコピーし、 相手にメールでURLを教えてあげるわけです。「URL」という言葉で、今までよく わからなかった肩も気づいたかもしれませんが、これはすぐ下で述べる「Web上に公開する」のと結果的に同じ方法をとるというわけです。(もち ろん5の方法の場合は、ファイルを特定の人しか見られないようにするためにも、 必要であればアクセス制限をかけるかファイルそのものを暗号化する等の方法が必要になりま す。)
5の方法に慣れてない方は、すぐにでも使える宅ふぁいる便やYahooブリーフケース(ファイルを公開設定する必要あり)、その他「オンラインストレージ」と呼ばれるサービスなどを使ってみると良いかもしれません。「宅ふぁいる便」は4と5の中間を取った面白いサービスだと思います。
6についてはあまり経験がないので、これについても詳しくは述べません。
つぎに、TeX文書をWeb上で公開する方法について、述べ ていきたいと思います。
まず、そもそも「Web上でのTeX文書の公開」とはどのような状 態を指すのでしょうか。それは、 「インターネット(ここではWWW)に接続された世界中のどのコンピュータからでも、あなたの作った TeX文書、すなわち電子データである(TeX文書の)ファイルを閲覧できるようにする」ということを意味しています。
皆さんが自宅でファイルを作ったとしても、他のパソコン(コンピュータ) からそのファイルを見ることが出来ません。そこで、ウェブサーバー (Web server)とよばれるシス テムの、公開フォルダ(ディレクトリ)の中にTeX文書のファイルを アップロード、つまりコピーして運んでやらなけれ ばならないのです。公開フォルダに運ばれたファイルは、世界中のコンピュータ (アクセス認証している時は「閲覧を許可されたコンピュータ」)から見ることが出来ます。
ウェブサーバーの公開フォルダにファイルをアップロードするには、 「FTPクライアント」というソフトが必要になります。
Windows の場合はFFFTP( http://www2.biglobe.ne.jp/~sota/ffftp.html というソフトが無料で手に入ります。Mac OS Xの場合は、 「やりとり」 http://hp.vector.co.jp/authors/VA019709/YariTori.html というフリーソフトがありますので、それを使うといいでしょう。Mac OS9以前の場合は、フリーのFTPクライアントはありませんが、Netscapeなどの Web ブラウザにFTPク ライアント機能が備わっている(と思います)ので、それを使うといいでしょう。
あとは、ウェブサーバー探しです。普通は、プロバイダの提供するウェブサー バーを使えばいいと思います。ホームページを作るための解説がプロバイダから のマニュアルに載っているかもしれませんので、それを参照してください。もし も無料ホームページ開設サービスなどで、無料でウェブサーバーを借りる場合は、 トクトク などがあると思います。ただし、Microsoft Wordなどで、適当に index.htmlというファイル名のHTMLファイルを作成し、アップロードしておく必 要があるかもしれません。(「公開ファイル」という題名でHTMLファイルを作り、公開したいファイ ルへのリンクを作っておくと良いでしょう。)
文書ファイルを公開できるウェブサーバーが見つかりましたら、そのウェブ サーバーの「ホスト名」(自分の使うサーバーのアドレス)、「ユーザー名(アカウント名)」(ウェブサーバーを使おうとする自分 が何者であるかを示すID)、「パスワード」(本当にそのユーザー名の人物かど うかを証明するためのパスワード)の3つを確認しておきます。最低限、その3つ を明らかにして、FTPクライアントの設定項目にそれを記入すれば、すぐにでも 文書ファイルの公開にこぎつけられるはずです。
詳しいことは、ホームページのアップロード方法と全く同じですので、ウェ ブサーバー(もしくはプロバイダ)のマニュアルをご覧ください。
さて、TeX文書をただ公開しても、他のパソコン環境では読んでもらえません。おそらく1番重要なことは、どんなパソコン環境でも読み込んだり印 刷できるようにすることでしょう。その点では、つい最近まで TeXで作った文書は、一般の WindowsユーザーやMacユーザーにとって、ソフトをインストールしないと読み込 んでもらえない形式にしか変換できず、互換性・汎用性のある文書とはいえませんでした。
LaTeX 文書は、DVIファイルやPSファイルに変換されることは、わりあい知られ ています。しかし、DVIファイルやPSファイルのままでは、Windows上だと、新た にソフトをインストールしなければならず、電子文書として公開するのには不向 きといえます。(ある大学の定期テストを公開している人は、たしか「TeXだと Windowsユーザーが見るのに不便だからHTMLでファイルを公開する」と言ってま した・・・。)
しかし、今ではこの問題は解決されたといえます。そのための2つの 方法をこれからご紹介しましょう。
多くのWindows/Mac/Unixユーザーが見られる文書の形式にPDFという形式が あります。これを用いることで、安心して TeX文書を公開・配布できます。さて、 PDFとはどんなものでしょうか。
PDFとは、Adobe という会社がPS形式のあとつぎとして作った形式です。この形式は、Adobe 社がAcrobat ReaderというPDFファイルを見るためのソフトを無料配布したのと、 PSファイルよりファイルサイズが(多くの場合)小さくなることから、急速に普 及しました。Acrobat Readerは多くのパソコンにあらかじめインストールされるように なり、多くのパソコン(特にWindows & Mac & Unix) では知らず知らずのうちに「PDFファイルを見られる環境」 が整っていたりします。ただし、世の中Windowsだけではありません。Unix 系OS(LinuxやFreeBSDを含む。Mac OS X は含まない。)を使っている方にファイルを渡すのであれば、PDF形式より PS形式の方が好まれます。
PDFは印刷用の文書としては非常に良く用いられています。また、PDFはWeb上で文書を公開することも出来ます。ただし、Webで文書を公開する場合、PDFには「開くのが重い」というイメージが付きまとうため、最近ではFlash Paperと呼ばれる形式が一部で注目を浴びていることも、覚えておくといいでしょう。(Adobe Reader 7ではずいぶん開く速度が速くなりましたが。)
DVIファイルから直接PDFに変換する方法としては、dvipdfmxによる方法が有名です。詳細はLaTeX でPDF文書を作ってみよう --- DVI→PDF編をご覧ください。
DVIファイルをdvioutで開き、そこから「クセロPDF」などのソフトでPDFに変換する方法もありますが、あまりお勧めできません。
無料で手に入るものを使いたい場合、dvipskでPSファイルを作った後に、日本語TrueTypeフォントにも対応してきたps2pdfが使えます。PSファイル経由でPDFに変換する方法 をご覧ください。(ちなみに、現在手に入るフリーのCIDフォントがダミーフォントしかないので、GNU Ghostscript 7.05 のインストール方法の方法は使い物になりません。)
無料にこだわらない場合、Acrobatを使い、PSファイルからPDFファイルに変換しても構いません。
HTMLファイルは、ホームページ(web page)のファイルとして、最も多く利用 されているファイル形式です。このページもまた、実体はHTMLファイルをウェブ サーバーの公開フォルダに置いているだけです。この形式は、LaTeX のように本 を作れるほど精巧な文字組を実現してくれるわけではありませんが、PDFよりも 読み込みが早く、Web ブラウザさえもっていれば見 ることが出来る点から、PDF以上に広い環境で閲覧可能な非常に汎用性の高い形 式といえます。(逆にいえば、WWW を実現するために、こうした汎用性の高い形 式を作ったともいえます。)
HTMLファイルはHTML(Hyper Text Markup Language)というマーク付け の方式で作られています。簡単(かつ若干不正確)に言えば、LaTeXと似たよう な方法で文字のレイアウトを決めていくもう1つのやり方である、と考えるとわ かりやすいかもしれません。LaTeX を知っているからといってすぐに正確なHTML をかけるわけではありませんが、ちょっと学習してみれば、意外にとっつきやす いことに気づくのではないでしょうか。
TeXファイルのHTMLへの変換は、PDFへの変換に比してやや面倒です。WWWに接 続できるほとんど総てのコンピュータ環境で閲覧可能という最大の利点はありま す。しかし、PDFファイルでも、十分多くの環境で見られますし、HTML変換の場 合、DVIファイルと同じようにはなかなか行かない部分が多いです。HTMLファイ ルへの変換をしたい場合は、まだまだ多少の苦労が必要です。
TeXファイルからHTMLへの変換のためのソフトは2種類あります。
知名度は、前者のほうが上です。それぞれを比較してみると、前者のLaTeX2HTML は「戻る」ボタンをつけるなど、よく見るweb pageらしい飾りを付けてくれます。 一方、後者のTeX4htは、前者のような飾りはつけず、DVIファイルで見られるよ うな形により近いHTMLファイルを提供してくれます。お好きなほうをお使いください。
TeXファイルをWordで読み込み可能なリッチテキスト形式(RTF)にすることができます。数式などは変換できませんが、簡単な文章であれば十分事足ります。
角藤先生の配布しているpTeXには日本語が使えるものが含まれていますので、それをお使いの方はすぐに使うことが出来るようになります。
使い方ですが、コマンドプロンプト(MS-DOSプロンプト)にて、TeXファイル(ここではfoo.texとします)のある場所にcdコマンドで移動し、
latex2rtf foo
を実行するだけです。
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