LaTeX でプレゼンテーション

目次

はじめに

以前なら、スライドやOHPでのプレゼンテーション(発表)が多かったのですが、 プレゼンテーションにパソコンを使用する方も多くなりました。パソコンによる プレゼンテーションなら、多彩なアニメーションなどを駆使して、見る人の目を 引くようなものが出来上がります。

LaTeX 周辺のパッケージの中には、こうした豊富なプレゼンテーション機能 を実現してくれるものがありますし、DVIプレビューアの中にもプレゼンテーショ ン機能を付けているものもあります。

まずは、パソコンによるプレゼンテーションでは、従来のOHP等を使ったやり 方に比べどのようなことが出来るかを簡単に見ていき、それをLaTeXでどのよう に実現していくかを見ていくことにします。

パソコンによるプレゼンテーションについて

まず、「パソコンでプレゼンテーションをやったことがない」という方向けの 解説をしてみたいと思います。既に経験済み(おそらくこれが大多数)の方は、 ざっと不適切な部分がないかチェックしていただけると、幸いです。(間違い等 が見つかりましたら、 yas.axis@ma.mni.ne.jp までメールをいただけると幸いです。)

まず、パソコンでのプレゼンテーションは基本的にパソ コンの画面を液晶プロジェクターでスクリーンに投影する、という形を とります。下図を参照してください。

パソコンのプレゼンの図

赤い矢印のように、パソコンの画面のデータがケーブルを伝って液晶プロジェ クタに流れ、スクリーンに投影されるというわけです。

次に、パソコンの画面を用いたプレゼンテーションに必要なものを挙げてみたいと思います。

まず、最初に考えるべきことは、プレゼンテーションをする会場にパソコン を持っていけるか、または 会場でパソコンを用意できるかどうか、といったことです。ノートパソコンをお 持ちの方は、会場までパソコンを持っていけばよいでしょう。(ノートパソコンを 持ち運ぶためのバッグが売られてますので、そういったものに入れて運んでいけ ばいいと思います。)一方、会場で用意してもらえる場合は、パソコンを持ち運 ぶ危険を冒す必要はありません。また、デスクトップパソコンしか持っていない 方は、友人にノートパソコンを持ってきてもらいましょう:-)

次に、プレゼンテーションに使うファイルを作るためのソフトを用意します。 これは後ほどお話します。

さらに、必要に応じて液晶プロジェクターを用意します。液晶プロジェクターは、安いものでも30万円程度、高いものでは数百万円します。スクリーンに明るく見やすい 画面を映し出したい場合は、十分な光量の得られるプロジェクターを用意しなけ ればなりません。たいていの場合は、会場で用意してもらう ことになるでしょう。また、少人数の場合は、直接パソコンの画面を覗 き込んでもらうという手もあります。

しかし、どうしても会場でパソコンや液晶プロジェクターを用意できない場 合でも、慌てる必要はありません。スライドやOHPに印刷して、それを用いてプ レゼンすればよいのです。さらにいざというときは、口頭での発表ということになり ます。(パソコンにせよ、OHPにせよ、あくまで「道具」に過ぎません。商品の 宣伝のプレゼンでもない限り、「道具」がないことを気に病む必要はないのです。 )

最後に、「スクリーン」が会場にあるかどうかを確認する必要がありますが、 なければ「白い壁」をスクリーン代わりに使いましょう:-)

プレゼンテーション用ファイルの作成ソフトについて

さて、ここでのメインの話はプレゼンテーション用ファ イルをどのソフトを使って作成するか(または、どのような形式のファ イルとして出力するか)ということです。とりあえず考え られる方法としては、次の3つがあります。(他にもあるかもしれません。)

通常思いつくのが、プレゼン専用ソフトを用いる方法です。Microsoft社の Office Professional版に含まれ、単体での販売もあるPowerPointは、その種の ソフトの事実上の標準です。アカデミック版でも1万円以上するので、たまにし かプレゼンしない方には高嶺の花かもしれません。その場合は、Open Office.orgという無料のOffice系ツールにプレゼンソフトが付属していますし、 MagicPointというフリーソフトのWindows版もVBランタイム上で動かせますので、 それを利用すると良いかもしれません。(MagicPointは、Unix系OSで使われているソ フトで、LaTeX のように、命令をエディタで書いて、プレビューしていくタイプ のソフトです。LaTeX ユーザーなら馴染めるかも・・・。)

2番目のHTMLファイルでのプレゼンも悪くないでしょう。Webブラウザさえあ れば、どのパソコンでもプレゼンが出来ます。JavaScriptやCSSを 効果的に用いた、いわゆるDynamic HTMLでプレゼンしてみるのも面白いかもしれ ませんし、Flush アニメーションを駆使してのプレゼンも良いかもしれません。 (普段は「クソ重いからヤメレ」と文句が殺到する、悪名高い技術の2つではあ りますが、プレゼンなら問題ないですね。)

また、PowerPointのファイルをHTMLに出力することも可能ですが、 PowerPoint 2002ではInternet Explorer以外のWebブラウザ(少なくともOpera 6.03日本語版)で、まともに読み込んでくれないことを知っておくべきです。 Webでの配布には、必ずしも適さないといえるでしょう。

以上の方法については、ここでは解説しません。LaTeX ファイルからプレゼ ンファイルを作る場合は、次のいずれかになります。

DVI ファイルでプレゼンする方法は、少々意外に思われるかもしれません。 dviout for Windowsはプレゼン機能をサポートしてますので、LaTeX からプレゼ ン用ファイルを作りたい場合には手軽な方法といえます。(LaTeX と dviout for Windowsさえあれば、他にインストールすべきものはありませんしね。)

そして最後のPDFによるプレゼンですが、Acrobat Readerさえあれば高い再現 性(どこで見ても同じような出力)の期待できるファイルですので、任意のパソ コンで行ったりWebで配布するのにはもっとも適した形式のファイルだといえま す。ただし、PDFの手書きをするわけには行きませんので、専用ツールを使うこ とになります。LaTeX ファイルをプレゼンファイルの原稿にする場合、少なくと もPDFファイルにアニメーション機能をつけたプレゼンファイルを出力する強力 な手段がありますので、その話についても見ていきます。

プレゼンテーションまでの流れ

プレゼンテーションまでの流れは、大まかには次のようになります。

  1. プレゼンテーションファイルを作る
  2. 全画面表示にしてプレビューする
  3. 必要に応じてやり直しにかかる
  4. 必要に応じて発表用原稿&聴衆に渡す配布物(レジュメ)を作る
  5. 発表!

1. まず、プレゼンテーションソフトないしはその他のソフトで、プレゼンテー ションのファイルを作ります。その作業は、仮想的な(電子上の)スライドを1 枚1枚作っていく作業と捉えることが出来ます。(下図はPowerPointで、 スライドを一覧表示にした図です。スライド単位で作られていることが分かると 思います。)

スライドは1枚ずつ作られる

たとえば、PowerPoint 2002の場 合は、メニューバーから[挿入 (I)] -> [新しいスライド (N) Ctrl+N]と選ん でいくことで、仮想的なスライドを1枚ずつ追加していきます。(当然、追加す るだけではなく、スライドに何か書き込むことが重要です。)一方、LaTeX 文書 から作っていく場合は、1ページ分が1つのスライドにあたることを認識して おくと良いと思います。このことをしっかり認識しておかないと、いつもの感覚 で1ページ分をはみ出す量で書いたスライドを作って しまうことにもなりかねません。もちろん、その場合は次のスライド(=ページ) に分が続けられることになりますので、注意してください。(ただし、普通のス ライド以外の文書をプレゼンにそのまま流用し、縦にスクロールしながらプレ ゼンしていくやり方もあります。その辺は工夫してみてください。)

2. さて、実際にどんな表示になるのかなどを確かめたくなると思います。その 場合は、ウィンドウやメニューバーといった部分を隠して、スライドのみを表示 させる「全画面表示」を使います。PowrPoint 2002であれば[スライドショー (D)] -> [実行 (V) F5]で全画面表示になりますし、Internet Explorer 6なら [表示 (V)] -> [全画面表示 (F) F11]にした後、出てきた上部の邪魔なバー を右クリック後[自動的に隠す (H)]を選べばよいです。dviout for Windows 3.14なら[Presentation] -> [Presentation switch]で、Acrobat Reader 5.0 では[表示 (V)] -> [全画面表示 (R) Ctrl+L]で全画面表示になります。ただ し、全画面表示にした後は、キーボードショートカットで全画面表示を抜け出す 必要があります。PowerPointは、スライド終了時に自動的に全画面表示から抜け ますが、Internet Explorerなら[F11]キーで、dviout for Windowsなら[Esc]キー で、Acrobat Readerなら[Ctrl] + [L]で自力で抜ける必要があります。プレゼン テーションファイルを他の人に開かせる場合は、その辺をきちんと伝える必要が あるでしょう。

3. 必要に応じて作り直しします。特に、文字色と背景色のコントラスト(対 比)がきちんとしているかどうかに気をつけてください。それを怠ると、後ろの 人から「見えない」と苦情が来ます。(ちなみに、私も苦情を受けたことがあり ます。ですので、その次にプレゼンしたときは、背景色を黒に近い暗い色、文字色を 白などの明るい色にして、コントラストを際立たせる工夫をしました。)それでも見にくい場合は、フォントをHelveticaなどのサンセリフ系や、 ゴシック体にするといいかもしれません。

4. 必要に応じて、発表用原稿や配布物(レジュメ)を作ります。原稿など読 まずにすらすらしゃべってしまうくらいまで練習するのが1番ですが、それまで のつなぎとしても、簡単な話の流れを書いたものを別途作っておく方が、スムー ズに発表までこぎつけられるかもしれません。(この辺は個人差だと思います。) また、配布物は、多くの場合必須でしょう。プレゼンだけでは、「ぼぉーっと見て いる間に終わってしまい、何をやっているのか分からなかった」ということにも なりかねないので、配布物で、内容を聴衆に確実にわからせる工夫も必要だと思 います。

5. あとは、発表時間など最終調整をし、会場で発表します。時間が足りない時はス ライドを飛ばしてしまう勇気も必要です。また、大事なことはゆっくり話すなど、 落ち着いた発表を心がけるようにしましょう。

以上が大まかなプレゼン構築・発表の流れです。 これ以上の話は、適当な書籍もしくはweb pageをあたってください。 また、もしさらなるプレゼン上の工夫すべきことがありましたら、 yas.axis@ma.mni.ne.jp までご教示くださいませ。

LaTeX を用いての、基本的なプレゼン作成

必要なもの

LaTeX システムは既に用意していると仮定します。その上で、seminarや foilsといったプレゼン用パッケージはインストールして おいた方が良いでしょう。角藤版pTeX (Web2C 7.3.9) であれば、既にインストー ルされていたと思います。

foils パッケージの使い方

ここでは、foils パッケージを用いて、DVI ファイルを使ってのプレゼンテー ションを紹介します。

覚えるべきことはそんなに多くありません。1つのスライドにまとめることを 意識しながら、書いていくのが基本となります。

まずは、1行目に次のように書きます。

\documentclass[30pt,landscape]{foils}

文字は1番大きい30ptで横長(landscape)と指定した上でfoilsパッケージを読 み込んでいます。30pt は、後ろの人にも見えるようにと考えたためであり、 landscapeにしたのはパソコンの画面内にすべての内容が収まるようにとの配慮 からです。縦長にした場合、少し画面を縦にスクロールする必要が出てくるで しょう。

大きさは12pt, 17pt, 20pt, 25pt, 30pt とあります。お好きなものを選んで ください。

次に、本文を囲む\begin{document}と\end{document}の対を作った上で、そ の中にタイトル用スライドを作ってしまいます。

\title{しゃぼん玉の歌について}
\author{大友}
\date{11 月 3 日}
\maketitle

上から順に、「本文(プレゼン)のタイトル」、「筆者(演者)の名前」、 「日付」の順に書き、\maketitleでその3つを出力します。最初の3つはプリアン ブルに書いてもかまいません。

以上で1枚目のタイトル用スライドの完成です。2枚目のスライドに移ります。

\foilhead{「しゃぼん玉の歌」の基本構造}

\begin{itemize}
\item しゃぼんだまとんだ
\item やねまでとんだ
\item やねまでとんで
\item こわれてきえた

\foilhead 命令に、スライドの見出しを書きます。また、この命令で前のス ライドとこの部分のスライドを分ける働きをしますので、\newpage(改ページ) 命令で明示的にスライドを分ける必要はありません。

スライドの内容そのものは、\itemize環境などで、簡潔に書いたほうが良いでしょ う。あまりいつもの文書のように書いてしまうと、1枚のスライドの中に収まり きらなくなりかねません。なお、収まりきれ無そうであれば、文字の大きさを小 さくすれば良いと思います。

では、今までの流れをまとめてみます。ついでに3枚目のスライドも追加して おきました。

\documentclass[30pt,landscape]{foils}

\begin{document}

\title{しゃぼん玉の歌について}
\author{大友}
\date{11 月 3 日}
\maketitle

\foilhead{「しゃぼん玉の歌」の基本構造}

\begin{itemize}
\item しゃぼんだまとんだ
\item やねまでとんだ
\item やねまでとんで
\item こわれてきえた

\foilhead{「しゃぼん玉の歌」と人の一生のアナロジー}

\begin{itemize}
\item 誕生、および一次反抗期
\item 二次反抗期
\item 大学に出て独立、青春という飛翔
\item 夢、破れたり

なお、例文はジョークですので、決して真に受けないで下さい。では、この ネタを例にして、実際の応用例を見ていきましょう。

DVI ファイルでプレゼン

特徴

dviout for Windows 3.14ではプレゼン用機能が強化され、とうとうプレゼン に必要な機能がほぼすべて揃うに至りました。部分的にテキストを隠し、 [Space]キーを押してみせていく機能、任意のファイルを実行できる機能、タイ マーでプレゼンを自動的に動かす機能、プレゼン中にカーソルで線や矩形が引け る線画機能などがあります。また、dviout for WindowsではPKフォントや画像な どが埋め込めますので、dviout for Windows 3.14さえ持っていれば(もしくはインス トールすれば、)どのパソコンでもプレゼンすることが出来ます。

もちろんLaTeXのコードから作りますので、非常に美しい組版による出力が得 られますし、dviout for Windowsの豊富なspecial命令をプレゼン作成時に使えることも 魅力です。

欠点としては、派手なアニメーション効果をつけられないこと、dviout for Windows 3.14をインストールできない環境(Mac OS, Unix OS etc)ではプレゼンできないことですが、基 本的にアニメーション効果は必要ないことが多いですし、後者も自分のパソコン を会場に持っていけば、ある程度大丈夫です。(web server上で公開するのは難 しいでしょうが、このあたりはPowerPointも同じです。(HTML出力が、Internet Explorer以外のwebブラウザのことを考えていないコードを生成するため)

必要なもの

dviout for Windows 3.14 および、プレゼンファイルを作成するLaTeXシステ ムです。(dvioutのちょっとしたバージョンアップであれば、ファイルの上書き をすれば簡単にアップグレードできます。)

dviout for Windowsでのプレビュー

先ほどの(やや邪悪な)LaTeX ファイルをプレビューしていきます。

まず、LaTeX ソースをコンパイルします。ファイル名をprestest.texとして おきます。

platex prestest

これでDVIファイルが出来上がりました。次に、そのファイルをdviout for Windowsで開きます。

メニューバーから[Presentation] -> [Presentation switch]と選びます。 (すぐに実行しないで下さい!)これを選ぶと、全 画面表示になり、プレビューが出来るようになります。この画面を液晶プロジェ クターで投影していけばよいのです。なお、[Esc]キー を押すことで、全画面表示のオン・オフができるようになりますので、 このことを確認したうえで、実際にプレビューを試してみてください。(ちなみ に「オン・オフを切り替える」ことを、「トグルする」 ということがあります。この用語はぜひ覚えておきましょう。)

その他の基本操作は、C:\dviout\doc\present.html(dvioutを違うところにインス トールした場合は適宜読み替え)でSHIMAさんが詳しい解説 をしてくださってますので、そちらを参照するといいと思います。(特に線画機能に ついては覚えておくことをお薦めします。)

より効果的なプレゼン方法

dviout for Windowsの認識する命令(dviout special)を駆使することで、よ り効果的なプレゼンが行えます。

まずは、クローズアップしたい部分を拡大してみましょう。下図は、C言語の ソースを用いたプレゼンで、乱数を初期化する部分を拡大しています。

プレゼンでクローズアップ!

任意の場所で右クリックすることで拡大できますので、活用してみてくださ い。後ろから「文字が見えない」と言われたときにも有効です。

dviout for Windows 3.14 では 背景色と同じ色のcover sheetというものでスライドの一部を 隠し、[Space]キーなどを押すことでcover sheetを外すということが出来ます。 具体的な例はC:\dviout\sample\slisamp2.dvi(dvioutを違うところにインス トールした場合は適宜読み替え)をご覧下さい。

さて、それを実現するには、プリアンブルにLaTeX ソースに次のように書いておけば良いで しょう。

\AtBeginDvi{\special{dviout -dpi=300 -y=F1024dot/100dpi:768dot/100dpi!AN5NO!pdndf;!b}} \def\pause{\special{pause}}

1行目の記号は、「1024 x 768 dpiの解像度の画面で、ファイルを開くと自動 的に全画面表示に移行し、線画機能 とcover sheet機能を付ける」という意味です。(説明していない部分も多々あ りますが、筆者もよくわかっていないので説明は省略します。)また、2行目は 「cover sheetをここで隠す」という命令を\pauseという短縮した命令で使える ようにしたものです。

それを書いた上で、

\foilhead{「しゃぼん玉の歌」の基本構造}

\begin{itemize}
\item しゃぼんだまとんだ \pause
\item やねまでとんだ \pause
\item やねまでとんで \pause
\item こわれてきえた \pause

と書くと、箇条書きが[Spece]を押すことで、1行ずつ表示されるようになり ます。

図形を組み合わせた次のようなプレゼンも、効果的かもしれません。

% タイトルをつけない \newpage

%背景を白に。(先の例の下に続ける場合は明示的に指定する必要はない。) \pagecolor{1,1,1}

\begin{itemize}
\item \includegraphics{bubble1.png} \pause
\item \includegraphics{bubble2.png} \pause
\item \includegraphics{bubble3.png} \pause
\item \includegraphics{bubble4.png} \pause

上のように、背景色を白にしておかないと、背景色+絵の色で、黒い画像が 出来上がってしまいます。上の例を応用した例を、以下のリンク先に置きます。

pfailure.zip

フォントや画像が埋め込んでありますので表示には問題ないと思いますが、 何か表示されないものがありましたら yas.axis@ma.mni.ne.jpまでご連絡ください。

最後に、一定時間たつと、cover sheetで隠していたものを取り払ってくれる 命令を紹介します。

\foilhead{モーリス・ラヴェル}

\begin{itemize}
\item 20世紀初頭に活躍した音楽家 \pause
\special{dviout `timer 5000 je}

\item 次の曲は、音楽に新たな語法を吹き込んだピアノ曲です \pause
\special{dviout `timer 10000 je}

\item 「水の戯れ」(MIDI)
\special{dviout `href file:water.mid}
\pause
\special{dviout `timer 7200 je}

\item 最初のページに戻ります \pause
\special{dviout `timer 5000 jt}

まず、\special{dviout `timer 5000 je} は、5秒間待ってからcover sheet で隠していたものを取り外す、という命令です。(5 x 1000. ) \specialと`timerの2つを用い たものは、\pauseと連動させて使います。(かえってごちゃごちゃしたら、後ろの 方にこの命令をまとめてもかまいません。)

次の \special{dviout `href file:water.mid} は、file: 以下のファイルを開く or 実行するという命令です。無論音楽だけではなく、解説の音声等を収録したファイ ルを指定するという手が極めて有効だと思います。なお、このファイルはdviout for Windowsを閉じても実行され続ける(音声が鳴り続ける)ので、改ページし たからといって音が消える心配をする必要はありません。(ただし、音声ファイ ルを立ち上げた直後に、そのウィンドウが表示されることは考慮に入れる必要が あると思います。)

最後の\special{dviout `timer 5000 jt}は、最初のスライドに戻る、という 命令です。cover sheet を\special{dviout `timer ... je}で自動で取り外し、最 後に\special{dviout `timer ... jt}で最初のページに自動で戻るようにして ループさせれば、、パソコンをほっ たらかしにしても勝手にプレゼンしてくれるようになります。(プレゼンの合間 の休憩時間にこの技を使い、何かを宣伝してみるのもいいと思います。)

他にも線画機能などがあります。その他の操作は、C:\dviout\doc\present.html(dvioutを違うところにインス トールした場合は適宜読み替え)でSHIMAさんが詳しい解説 をしてくださってますので、そちらを参照するといいと思います。

dvioutでプレゼンするための基本的な命令をざっと紹介しましたが、最後に dviout for Windowsには「スライドを一括表示する機能」が備わっていることを 紹介します。メニューバーから[Display] -> [16 pages]の順に選ぶと、次の ような画面が表示されます。(全画面表示している場合は、(数字の)[6]キー を押してみてください。)

16スライド分表示

\pagecolorで背景色を設定していても無視されます。(この方が内容を見 やすいため便利なのです。)飛びたいスライドを右クリックすれば、該当するス ライドに飛ぶことが出来ます。

アニメーションの豊富なプレゼンテーションに慣れた方は若干地味に感じる かもしれませんが、プレゼンに必要な機能はすべてそろっています。アニメーショ ン効果は、かえって内容ではなく見た目の派手さに聴衆を引き付けるきらいがあ りますので、dviout for Windowsでのプレゼンで十分な場合はけっこうあります。 プレゼンの技術に走るより、内容をよく吟味しましょう。:-)

LaTeX + dvipdfm + PPower4 でプレゼン

特徴

この方法は、LaTeX, dvipdfm(平田さんの日本語パッチを当てたもの。 dvipdfmx(dvipdfm-cjk)は不可)と一緒に、PPower4というパッケージおよび pp4p.jarというポストプロセッサを併用することで、豊富なアニメーション効果 のついたPDFを得るためのものです。

利点は、何といってもPDFを最終出力とできる点です。Acrobat Readerさえあ れば、WindowsであろうとMac OSであろうとUnix/Linuxであろうと任意のパソコ ンでプレゼンできてしまうのです。(もちろん日本語なら日本語フォントが必要 となりますが。)したがって、会場でプレゼンしたファイルをそのままインター ネット上で公開することすら可能なのです!

それに加え、文の隠れている1行どころか1単語ずつ表示することが出来ます し、隠れている文字の表示時に多彩なアニメーション効果をつけることが出来ま す。PowerPointほどではありませんが、それでも宣伝用のプレゼンテーションに も活用できるレベルではないかと思います。

むろん、LaTeX の正確かつ美しい組版がほぼそのまま使えることは言うまでもあ りません。「派手さ」だけではなく、「質」でも勝負できるプレゼンが実現可能となるの です。

欠点としては、Acrobat Readerそのものにプレゼントしての機能が乏しく、 dviout for Windowsにある「線画機能」など、いくつかプレゼンには欲しい機能 が使えないことが挙げられるでしょう。この辺はうまく工夫していく余地があり ます。

なお、PDFファイルのプレゼンテーションに関しては、他にもProsperというパッケー ジが有名です。(というより、後述するPPower4よりはProsperの方が断然使われています。デザインテンプレートもあるし、PSTricksで美しい図がかけるし・・・。)Prosperのファイルは、PSTricksを用いているためdvipdfmの変換が うまくいきません。Acrobatをお持ちで無い場合は、 Ghostscript と GSview のインストール GNU Ghostscript 7.05 のインストール方法等を 参考に、ps2pdf(pdfwrite)で綺麗なPDFファイルを作るための諸設定を済ませて ください。Prosperについては、使い方を解説した良いページがたくさんありま すので、ここでは解説を割愛します。(「Prosper」と「インストール」で Google 検索すると良いでしょう。)

必要なもの

まずは、TeXシステム, dvipdfm, Acrobat Readerです。角藤版pTeXをお持ち の方なら多くの人が既にそろ えていることでしょう。(他のものをお使いの方は、別途dvipdfmを手に入れる必 要があるかもしれません。ただし、ここで必要になるのはdvipdfmx(旧dvipdfm-cjk)プロジェ クト以前の(フォント埋め込み機能等のない)dvipdfmです。この dvipdfmの出力したPDFは、運良くPPower4が正常に処理可能なPDFのようです。 dvipdfmxのものですと、日本語部分に文字化けを起こす 可能性があります。

また、新たにインストール必要があるのがPPower4パッケージです。これは Java(TM) 2 Runtime Environment上で動くJavaプログラムが同梱されています。 また、Java 2 Runtime Environmentをまだ導入していない方(特にWindows XPユー ザー)やその古いバージョンをお持ちの方は、別途導入する必要があります。こ こではJava 2 Runtime Environment, SE v1.4.1_01 を用いて解説します。(他 のバージョンでも互換性さえ保てていれば動くと思います・・・。)

必要なものは以上です。

PPower4 と関連ソフトのダウンロード・インストール

J2SE Runtime Environment (JRE) のダウンロード・インストール

Javaでできたプログラムを実行するための大黒柱のようなソフトであるJ2SE Runtime Environment(JRE)を必要ならばインストールします。インストール方法については下を参考にしてください。

J2SE Runtime Environmentのインストール

PPower4 のダウンロード・インストール

こちらは人によってはちょっと大変かもしれません。

まず、次のリンク先からPPower4をダウンロードします。最新版は0.9.4 です。必要なものはstyle files とpp4p.jarとppower4.batです。

http://www-sp.iti.informatik.tu-darmstadt.de/software/ppower4/download.html

次に、拡張子がstyのファイル(ファイル名のドット以下数文字がstyのファ イル。そんなものが表示されないという場合、Windows Meなら[ツール (T)] -> [フォルダオプション (O)]で出てき たウィンドウから[表示]タブをクリックし、「登録されているファイルの拡張子 を表示しない」のチェックを外して[OK]を押す)をすべて C:\usr\local\share\texmf\tex\latex\ppower4の中にコピーします。(ppower4 フォルダは新たに作ってください。\は「〜のフォルダの中 の○○」という意味で、C:\A\B\Cなら「Cドライブの中のAフォルダの中のBフォ ルダの中のC」を表します。)

次が少々大変かもしれません。同梱されているpp4p.jarというファイルを JRE のlibフォルダにインストールしなければなりません。(この作業の意味が わかっていれば、以下の長々とした記述を読む必要はないでしょう。)

まずアドレスバーの欄に、フォルダ名を\で区切ったファイルパスを表示するように設定します。もともと表示されてい たらそのままにします。(Windows Meなら[ツール (T)] -> [フォルダオプション (O)]で出てき たウィンドウから[表示]タブをクリックし、「アドレスバーにファイルのパスを 表示する」のチェックをつけて[OK]を押します。)これは後の作業にかかわって くることなので、きちんと行ってください。

次にjava.exeを検索にかけ、見つけたファイルのアイコンを右クリックして[1つ上のフォルダを開く (I)]を選び、バージョン 1.4.1.01の場合と似たような場所にあるjava.exeを見つけ出したら、そこのアド レスバーのファイルパスをどこか適当なファイルにコピー&ペーストしておきま す。(もちろん紙にメモしていただいてもかまいません。)また、1つ上のディ レクトリに移動し、そこのlibフォルダの中にpp4p.jarをコピーしてください。 ここのアドレスバーのファイルパスもどこかにコピー&ペーストしておきます。

最後に、ppower4.batの記述を訂正します。同梱されているppower4.batを右クリック し、[編集 (E)]をクリックします。そこで、set basedirの行とset javacommand のそれぞれの右辺を書き換えます。(JRE がどこにあるかを書いておくのです。)

JRE 1.5.0_06 であれば、下のように書き換えておけば良いでしょう。

set basedir="C:\Program Files\Java\j2re1.5.0_06\lib"
set javacommand="C:\Program Files\Java\jre1.5.0_06\bin\java"

それ以外のバージョンの場合は、右辺のダブルクオーテーション(")の 中を適切に書き換えます。libフォルダの中でコピーしたアドレスバーのファイ ルパスを上に、java.exeのあったbinフォルダの中でコピーしたアドレスバーの ファイルパスは下に記述します。ただし、下のほうには、パスの末尾にjavaと 記述してください。(バージョンが違うといえども、上のJRE 1.5.0_06 の記述 例は参考になるはずです。)

ppower4.bat を書き換えたら、パスの通ったフォルダに置いておきます。具体的 には、ptex.exe等のあるC:\usr\local\binがそれに該当するはずです。(もし なければptex.exeを検索し、見つかったアイコンを右クリックして[1つ上のフォ ルダを開く (I)]を選んでフォルダを開き、そこにppower4.batをコピーするという 手順を踏むといいと思います。)

以上でインストールが終わりました。試しにコマンドプロンプト(MS-DOSプロ ンプト)を開き、ppower4 --version と入力し、Enterキーを押してみてください。バージョン名の 部分は違うかもしれませんが、例えば次のような出力が得られたでしょうか。

PPower4 version 0.9.4
Copyright (C) 1999-2002 Klaus Guntermann, FG SP, TU Darmstadt
PPower4 is free software; see the source for copying conditions.
There is NO warranty; not even for MERCHANTABILITY or FITNESS
FOR A PARTICULAR PURPOSE.

得られたら、インストールはうまくいっていると思います。しかし、「コマ ンドまたはファイル名が正しくありません。」と出てしまったら、どこかで失敗 している可能性があります。

PPower4 の使い方

LaTeXファイルの記述

ではさっそく使ってみましょう。まず、1行目に次のように書きます。

\documentclass[30pt,landscape]{foils}

ここでもfoilsクラスファイルを使います。その上で、プリアンブルの残りに次のように書きます。

% color パッケージをdvipdfmで使う
\usepackage[dvipdfm]{color}

% hyperref パッケージを読み込み、このPDFファイルを開いたら全画面表示にする。
\usepackage[dvipdfm,pdfpagemode=FullScreen]{hyperref}

% ppower4 パッケージ付属のファイルを読み込む
\usepackage[dvipdfm]{pause}
\usepackage[dvipdfm]{background}
\usepackage{pp4slide}
\usepackage{pp4link}

% スライド(ページ)変更時に付加するアニメーションの設定
\newcommand{\settrans}[1]{%
\special{pdf: put @thispage << /Trans << /Type /Trans /S /#1 >> >>}%
}

それぞれの命令の意味は、大まかに%以下に書きました。少し補足しますと、 pauseパッケージおよびbackgroundパッケージはdvipdfmオプションをつけて読み 込むようにしてください。

次に本文です。ここでは2ページ(スライド2枚)のみ作成してみます。本文(document環境の間)には次のように書いて みてください。

% 背景色の設定です。
% 色の名前は\define命令であらかじめ決めておきます
\definecolor{bgblue}{rgb}{0,0,1} % 青色
\definecolor{bgblack}{rgb}{0,0,0} % 黒色
\vpagecolor[bgblue]{bgblack} % 上を青、下を黒としてグラデーションを作る

% 文字色を白に \color[named]{White}

\foilhead{日本語の練習}

\begin{itemize}
\item 私は、学生です \pause
\item 私が、学生です \pauseVBlinds
\item 私、学生です \pauseVOSplit
\item 日本語は\pause こうした\pause 微妙な\pause ニュアンスの\pause 違いが \pause 特徴の\pause 言語です \pauseReplace
\end{itemize}

\foilhead{さいごに}
% このスライドに移る時に加えるアニメーション効果の1種
\settrans{Dissolve}
\begin{center}
ご清聴ありがとうございました。
\end{center}

まず、3〜4行目で、RGB値で指定した色に名前を付けています。RGBが0,0,1の 色にbgblue, RGBが0,0,0の色にbgblackと名前を付けています。その上で、

\vpagecolor[上の色]{下の色}

のように色を2つ指定します。ちなみに1色でいい場合は、前に述べた \pagecolor命令を使います。

itemize 環境の中身で色々な\pauseを使っています。これはEnterキーなどを 押すまで隠すという命令で、\pauseの後ろにDissolveなどの効果名をつける(こ の場合は\pauseDissolve)ことで、隠していた文字列を表示する際に、アニメー ション効果を付加することが出来るようになります。ちなみにこの\pauseは、1 行単位ではなく、1文字単位でも作用させることが出来るので、時々便利です。

2枚目のスライドでは\settransという命令を使っていますが、これはプリア ンブルで自前で定義したものです。ここに効果名を書いておくことで、スライド の移り変わり時にアニメーション効果を入れることが出来るようになるわけです。(私の環境では、非力なマシンのためか、このアニメーション効果が出てくることを確認できませんでした。)

少々駆け足でしたが、以上で代表的な機能を説明しました。詳しくは 同梱のmanual.pdf(英語)をご覧下さい。

プレゼンPDFファイルを作る

まずは、通常通りPDFファイルを生成します。LaTeXのファイル名を pptest.texとし、これがC:\home\klavisの中にあったとします。この場合、 コマンドプロンプト(MS-DOSプロンプト)で次のように処理します。

cd C:\home\klavis
platex pptest
dvipdfm -l pptest

サイズの大まかな変更・・・たとえばB5版にしたいのでしたら、

dvipdfm -l -p b5 pptest

とします。

ちなみにもしもLaTeXソースが「マイ ドキュメント」にある場合、Windows 9x系なら最初の1行を

cd C:\"My Documents"

とすればよいですが、Windows XPなどのNT系はユーザー名によって違います。

ともあれ、以上でPDFファイルが出来ました。しかし、これでは一部変な点の ある、アニメーション効果なしのPDFにすぎません。そこでpp4p.jarの出番です。 ppower4.bat を使ってpp4p.jarを使っていきます。pp4p.jarでPDFファイルを処 理したあとに出来るPDFファイル名をppout.pdfとすると、

ppower4 pptest.pdf ppout.pdf

で、プレゼンテーションPDFファイルが生成します。

プレビューしよう!

出来上がったPDFファイルをダブルクリックしてみます。すると、いきなり全 画面表示になると思います。全画面表示の抜け方はCtrl + Lで、dviout for Windowsの場合とは違います。気をつけてください。

プレゼンは右矢印キー、もしくはEnterキーで進められます。戻る時は左矢印 キーです。

十分なテストが終わったら、後は運を天に任せ、会場で講演すれば良いでしょ う。また、得られたPDFファイルはAcrobat Readerさえあれば様々な環境で閲 覧可能ですので、web pageでの公開に踏み切ってみるのも悪くないかもしれませ ん。

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