BibTeXをカンタンにする方法
     ---文献管理ソフトRefを用いる方法

目次

はじめに --- Ref for Windowsの紹介

文献リストファイルであるbibファイルを手書きで書きながらまとめてもいいですが、bibファイルの書式を覚えなければいけませんし、文献リストとしては見にくいですし、いろいろと面倒です。そこで、文献管理ソフトのようなものが欲しくなります。

有名な文献管理ソフトとしてはEndnoteが有名ですが、4万円近くしたと思います。そこで、無料で手に入る文献管理ソフトとして知られるRef for Windowsを紹介することにします。

Ref for Windowsは文献管理ソフトとしての基本的な機能がそろい、なおかつBibTeXの形式のファイルの書式で文献リストを出力することの出来る高機能なソフトです。インポート・エクスポートともにさまざまな形式に対応しており、LaTeXとの連携のみならず、どのソフトでも文献リストを簡単に出力することが出来ます。

RefはRef2000とRef98の2種類があります。Ref98はすべてのバージョンのWindowsに対応しているようです。Ref2000はWindows 95, 98, Meでは使えないようですが、Web上での検索サイトとの連携などRef98よりも高機能です。今回は説明のためにRef98を用いますが、Windows 2000, XPの方は是非Ref2000をお使いください。

なお以前はシェアウェアだったようですが、現在はフリーソフトとして用いることが出来ます。

Refのインストール

まず、次のリンク先からRef for Windowsをダウンロードします。

http://hp.vector.co.jp/authors/VA011272/html/download.htm

ダウンロードしてきたrefw-(数字)(.exe)をダブルクリックしますとインストーラが起動します。

まずRefをインストールする旨の説明が現れます。[次へ]をクリックしてください。

Refのインストール

Refのインストールに関する説明です。[次へ]をクリックします。

Refのインストール説明

インストール先フォルダの指定です。通常はこのまま[次へ]をクリックすればよいでしょう。

Refのインストール先指定

フォルダがないので作成する旨伝えてきます。[はい]をクリックします。

インストールフォルダの作成

デスクトップ上にショートカットを作成するかどうか聞いてきます。もともとチェックが入っていますし、そのまま[次へ]をクリックします。

Refのショートカット作成

Ref文献リストファイルに対応する拡張子のファイルについて、ダブルクリックするとRefが起動するようにするべきかどうかを聞いてきます。特に問題がなければ[はい]をクリックします。

Refとの関連付け

説明書を読むかどうか聞いてきます。通常は[はい]をクリックして説明書を読みます。

Refの説明書を読むかどうか

以上でRefのインストールの終了です。

なお、EasyTeXを用いている方は、次のようにメニューを作成し、RefとBibTeXを起動できるようにしておくと良いでしょう。

「BibTeX起動」
「Ref起動」

上の「Ref起動」はRef98の場合です。Ref2000の場合は「プログラム」に「C:\Program Files\Ref\Ref.exe」と記入します。

Refの使い方

文献ファイルの作成

では、さっそくRefを用いて文献リストを作成してみましょう。(もちろん、この作業はLaTeXで論文などの文書を作成する前に行う作業です。文献を集めながら試してみましょう。)

「Ref 98」というショートカットをダブルクリックすると、Refが起動します。まず、ここで文献リストをまとめるファイル(文献ファイル)を作成します。メニューバーより[ファイル]→[文献ファイル作成]と選ぶか、ツールバーの「文献ファイル作成」ボタンをクリックします。

まず、文献ファイルの保存先を聞かれますので、指定した上で[保存]をクリックします。

Refの文献ファイルの保存先指定

どのような形式・サイズ・機能の文献ファイルを作成するかを聞いてきます。ここで「レコード」と書かれているのは「一冊の文献に関する情報をまとめたもの」です。(詳細は後述。)ここではそのまま変えずに[OK]をクリックします。

文献ファイルの仕様決定

文献ファイルを新規に作成する旨確認してきます。そのまま[OK]をクリックします。

文献ファイル作成の確認

これで文献ファイルが新しく作成され、(空っぽですが)文献のリストを表示します。これを「リスト画面」と呼ぶことにします。

文献リストの作成

早速文献リストを作っていきましょう。

データベースソフトを使ったことのない方には聞き慣れない言葉ですが、文献リストというものは、一冊の文献に関する情報を一まとめにした「レコード」というものをまとめたものです。そして、一冊の文献に関する情報をまとめるためには、この「レコード」を扱い、文献リストに登録することになるのです。

メニューバーより[レコード]→[新規登録]あるいはツールバーより「新規登録」ボタンをクリックすると、レコードを作成する為の画面である「レコード画面」が表示されます。

ためしに、レコードに次のように記入してみます。(まず、右上の「Journal」を「Book」に変更しておきます。その上で、[Author(s)]すなわち筆者の名前に「ボルティモア、ロディッシュ、ダーネル」、[Title]すなわち本や論文のタイトルに「『分子細胞生物学 第4版』」(かぎ括弧をつけるかどうかはお好みで)、[Source]・・・本なので出版社名を「東京化学同人」、[Year]すなわち本の出た年を「2001」、[Keywords]すなわち本や論文のキーワードと[Comment]すなわち注を適当に埋めます。なお、\citeで参照する際に用いるラベルはRefが自動的に付けてくれますので、考える必要はありません。

レコード作成(書籍の場合)

なお、著者を日本語で書くと、著者名以外の他の欄をクリックすると[List]という欄が登場し、英文表記も求められます。指示通りに記入しておきます。

著者の英文表記

レコードを作成したら、[NeW Record]をクリックします。たった今作ったレコードを文献リストに登録するかどうか聞かれますので、[はい]をクリックします。

レコード登録の確認

同様に論文も登録してみましょう。右上の[Journal]はそのままで、、[Author(s)]すなわち筆者の名前に「Watson, JD and Crick FHC」(略称のピリオドを付けてももちろん構わない。)、[Title]すなわち本や論文のタイトルに「A Structure for Deoxyribose Nucleic Acid」(かぎ括弧をつけるかどうかはお好みで)、[Source]すなわち雑誌名を「Nature 171(10):737-738」(Natureが雑誌名(Journal)、171が巻(Volume)、括弧の中の10が号(Issue)、737-738がページ番号。それぞれの情報を正確に分離するため、とりあえずこれを変えないように記入するようにする。)、[Year]すなわち本の出た年を「1953」、[Keywords]すなわち論文のキーワードと[Comment]すなわち注を適当に埋めます。[NeW Record]ボタンをクリックして再びレコードを登録しましょう。

レコード作成(英文論文の場合)

メニューバーより[レコード]→[編集終了]あるいはツールバーの編集終了ボタンをクリックしてレコード画面を閉じ、リスト画面に戻ります。すると、リスト画面に先ほど登録しておいたレコードが追加されていることが分かります。(1番上の「test」は上の説明とは別にレコードの登録テストを行ったものです。気にしないでください。)

レコード登録済みリスト画面

なお、文献リストは、Refを右上の×ボタンなどで閉じるなどする際に自動的に保存されるそうですので、いちいち保存する必要はありません。

検索と分類---Refを用いる際の考え方

さて、ここまでRefで文献レコードを登録してきましたが、ここで整理好きな方は不思議に思ったかもしれません。なぜこれまでまったく文献を分類・整理せずに取り扱ってきたのかと。

その疑問に対して、Refはこう答えます。「分類しなくても何とかなるよ」と。

文献を登録する際に、文献を分類しようとするのは知的なやり方です。それに比べて文献を分類しないで取り扱うのはいい加減な人間のやることだと思うかもしれません。でも、論文をあれこれ無理に分類しようとすると、その論文がこれまでのカテゴリーのどれにも属さないときに困りますし、そもそもどのカテゴリーに属するかを考えること自体面倒です。そして、何よりも、文献を登録する作業を億劫にさせる最大の要因となります。

そこで、あえて論文を分類せずに、他と重複しない唯一の番号(ID)をつけ、あえてダラーっと登録します。(IDは文献レコードを登録したときに自動的に付けられ、リスト画面においてレコードの先頭に表示されます。たとえば『分子細胞生物学』のIDは2、Watsonらの論文は3です。)そして、コピーまたは印刷した紙の論文の先頭にでも、Refで論文に付けられたIDを書き、そのIDの順に紙の論文を並べて保管しておきます。

そして、ある論文を紙で見たくなったとき、メニューバーより[検索]→[検索]または検索ボタンをクリックして求める論文を探し出し(方法は後述)、そのIDを見つけ、紙の論文を探すわけです。ID順に並んでいるので、容易に見つかるでしょう。

つまり、文献を登録する際には分類は不要であり、どうしてもしたくなったときには、あらかじめ文献を分類せずに選択しておき、その後で文献を選択し、それを元に「部分ファイル」を作ればよいのです。

さて、「部分ファイル」は分類の目的のほかには、実際に論文で引用する文献のみをまとめる際にも役に立ちます。では、部分ファイルを作ってみましょう。

まず、Ctrlキーを押しながら、部分ファイルに登録したい文献レコードを選択します。ここでは遺伝子関連のレコードを選択します。(一つだけでもCtrlキーを押しながらクリックします。)すると、選ばれたレコードに灰色が付けられるでしょう。

文献レコードの選択

メニューバーより[ファイル]→[部分ファイルとして保存]と選びます。出てきたダイアログでとりあえずgeneと名づけて[保存]をクリックします。

部分ファイル保存

部分ファイルのコメントを書き、[OK]をクリックします。

部分ファイルのコメント記入

これで保存されました。次に、実際に部分ファイルを開いてみましょう。[ファイル]→[部分ファイルを開く]で部分ファイルを開きます。先ほど作成したgeneという部分ファイルを選択し、[OK]をクリックします。

部分ファイルを開く

開くかどうか確認してきますので、[OK]をクリックします。

部分ファイルを開く前の確認

これで、部分ファイルが開き、先ほど選択した文献レコードのみがリストに表示されます。

部分ファイルの文献リスト

なお、部分ファイルの元になった文献リスト全体は残ったままです。ですので、「分類」というよりは「一部を取り出す」ような感覚で部分ファイルを使ってみるとよいかもしれません。

文献参照のやり方

さて、ここまではLaTeXで論文などを作る前の話、LaTeXとは関係のない話でした。ここから実際にLaTeXで論文作成をするときの話に移ります。

たとえば、論文を書いているときに次のような文章に差し掛かり、ワトソン・クリックの論文を参照したくなったとします。

DNAの二重らせん構造を解明したのはワトソン・クリック

まずRefを起動しましょう。(EasyTeXで先の設定を行っていれば、メニューバーより[ツール]→[Ref起動]で起動できます。)そして、文献ファイルを開きます。

メニューバーより[検索]→[検索]と選ぶか検索ボタンをクリックし、Watsonなどで検索してみます。ここでは、[検索対象]にWatson、[検索項目]を「全対象」として[OK]をクリックします。

検索ダイアログ

すると、検索結果が表示されますので、[一覧表示]をクリックして検索結果の一覧のリストを見ることにしましょう。

検索結果

一覧のリストが表示されますので、求める論文をダブルクリックします。

検索結果の一覧

リスト画面に戻り、ダブルクリックした文献レコードが選択されます。先頭が文献レコードのIDです。折角ですので、紙の論文を見て本当に求める論文なのかを確認しましょう。そのIDの書かれた紙の論文を探します。ID順に整列してあるはずですので、さほど時間はかからないでしょう。見つかったら紙の論文を見て確認します。

求める論文が選択された状態

その論文であっていれば、早速参照してみましょう。

参照は、求める文献を参照するための文字列(ここではLaTeXですので\citeを用いた文字列)をクリップボードと呼ばれる一時的なデータ置き場にコピーし、EasyTeXなどのテキストエディタの「貼り付け」機能で文字列を貼り付けることで行います。初めて参照する場合、どのような形式の文字列をクリップボードにコピーするかを設定する必要があります。

まず、リスト画面を開いた状態であることを確認し、[選択]→[番号書き込みの書式]と選び、出てきたウィンドウで「BibTeX形式1」を選択して[OK]をクリックします。本文中で\citeを用いて参照した文献のみを後で文献リストに挙げたい場合は、[番号書き込みと同時に、そのレコードを選択する]にチェックを入れます。これで設定の終了です。

番号書き込みの形式選択

では、さっそく参照してみましょう。参照したい文献レコードを選択し、メニューバーの[選択]→[番号書き込み]あるいは番号書き込みボタンをクリックします。これで貼り付けるべき\citeの文字列がコピーされました。そして、EasyTeXなどお使いのテキストエディタで貼り付けてください。ここでは、先の文字列の「ワトソン・クリック」の後につけてみます。

DNAの二重らせん構造を解明したのはワトソン・クリック~\cite{Test2:3}

すると、\cite{文献ファイル名:文献レコードのID}という形式で貼り付けられました。(\citeの前のチルダは「改行しないスペース」という意味で、「ワトソン・クリック」の文字列と文献参照番号とを改行で区切らないようにした上でスペースで見やすくするための一工夫です。ですので、消す必要はありません。)後はそのまま論文の執筆を続けてください。

文献リストの作成

最後に、RefとBibTeXの組み合わせで文献リストを作っていくことにしましょう。

まず、Refのリスト画面を開き、Ctrlキーを用いて文献リストに出力したい文献レコードを選択します。ここでは、先ほど部分ファイルを作ったときに選択したものと同じ文献を、選択することにします。

文献レコードの選択

次に、メニューバーより[ファイル]→[エクスポート]、あるいはツールバーの「エクスポート」ボタンをクリックします。

出てきたウィンドウで[エクスポートの形式:]を「特定形式ファイル」にし、[エクスポート対象:]で「選択されたレコード]をクリックし、[OK]をクリックします。

エクスポートの形式指定

出力形式を具体的に決めます。「BibTeX形式ファイルを出力する」を選択し、[実行]をクリックします。

エクスポートの形式をBibTeXにする

BibTeX形式の文献リストファイルであるbibファイルの保存先の指定です。ここではtestrecord(.bib)という名前にし、LaTeXソースファイルと同じ場所を指定して[保存]をクリックします。

bibファイルの保存先指定

これで保存されました。出力されたbibファイルを見てみると次のようになっています。おかしい部分があれば修正します。

@article{Test2:3,
author = {Watson, JD and Crick FHC},
title = {A Structure for Deoxyribose Nucleic Acid},
journal = {Nature},
volume = {171},
number = {10},
pages = {737-738},
year = {1953},
}

@book{Test2:2,
author = {ボルティモア and ロディッシュ and ダーネル},
title = {『分子細胞生物学 第4版』},
publisher = {東京化学同人},
year = {2001},
}

LaTeXソースファイルには次のように追記します。

\bibliographystyle{jplain}
\bibliography{testrecord}

論文が完成したら、platex→jbibtex→platex→platexの順で処理します。(EasyTeXで前述したとおりに記述している場合、メニューバーより[コンパイル]、[ツール]→[BibTeX起動]、[コンパイル]、[コンパイル]の順にクリックします。)

出力は次のようになります。予想したとおりに出ているでしょうか。

文献リスト出力

なお、その他のRefの機能についてはヘルプをご覧ください。また、文献ファイルのバックアップは絶対にしておいてください。なくしたら相当ショックです!

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