LaTeX の いりぐち

目次

はじめに

さて、準備万端整ったところで、LaTeXの解説をしたいと思いますが、その前に このLaTeX入門の特徴を簡単に説明したいと思います。

この入門は初心者向けではありますが、多少普通のLaTeX解説書では触れら れてない部分や、逆にここでは触れてない部分もあります。後者の方が多いと 思いますので、まともに使う方はLaTeXの入門書を買ってしまうことをお薦めし ます。

また、「ワープロユーザーのための・・・」と書いてあるだけあって、ワープロソフト からの移行を促すかのように、市販のワープロソフト との比較や、Microsoft Wordのアイコンを用いたりして説明していますが、ワープロソフト を使っていることは前提ではありません。安心してご覧ください。

それともう1つ。この解説の中には TeX をカンタンにする方法(設定編) で紹介したソフトを実際に用いた解説もあります。初心者の方は、実際にこ れらのソフトを導入してから読んだ方がいいかもしれません。

まずはTeXの大黒柱から

"\"に続く「命令」たち

まずは、先の 「では、使ってみましょう!」 でも出てきた、「TeXの大黒柱」についてのことから、簡単な復習も含めて説明しましょう。それ は次のように書いてました。(% の部分は省略)

\documentclass{jarticle}

\begin{document}


こんにちは、\TeX さん、\textbf{ごきげん} いかがですか?

\end{document}

さて、普通の文書の中に、\に続く英語らしき列があることに気がつくでしょ う。これが、TeXで使われる「命令」(正確には「コントロール・シークエンス」 )です。これらの「命令」を解釈してくれるソフトがTeXなのです。私たちはこ れから、\に続く命令を使って、ワープロソフトとは一味違った洗練さを持った 文書を作っていくのです。

しかし、ここでちょっと不思議に思うかもしれません。もしも\の後に普通の 文字が来る、たとえば「\は日本語の通貨の単位です」という文字列が来たらど うでしょう?・・・これも「\は日本語の通貨の単位です」という名前の「命令」として解釈されてしまいます。したがって、 TeX文書中では\を直接使うことは出来ません。amsmathパッケージ等にある\yen という命令で、回りくどく示す必要があります。

このように、普通の文字列中に「命令」を入れていくタイプの体系を「マー クアップ言語」といいます。ホームページで使われるHTMLも、その一種といって よいと思います。

あなたのレポートは横書きかな?--- 「ページ設定」の命令

まずは1行目の命令、\documentclassから見ていきましょう。

ワープロソフトを使ったことのある人なら、「これはB5の大きさで、なおか つ縦書きの文書にしよう」などとレイアウトの基本的な設定をしたことがあるで しょう。Microsoft Word では「ページ設定」と呼んでいるものです。(下にそ の図を示します。)

Microsoft Word の「ページ設定」ウィンド
ウ

上のウィンドウのような項目の「ページ設定」の基本的な部分を担当するのが \documentclassです。(ただし、ワープロソフトとは 違って、この命令は省略できませんので注意してください。) \documentclass は、次のように使います。

\documentclass[紙のサイズ,ベースとなる文字の大きさ] {文書の形式}

[ ]の中には、他にもたくさん項目があるのですが、ひとまずこれで済ませておき ます。先ほどの例のように、[ ]の中の項目(「オプション」といいます)は省略することが出来ます。「文書 の形式」さえ指定すればよいのです。

「文書の形式」は何種類かあります。article, report, book というのが外 国のTeXの文書形式名です。articleは記事、あるいは小さなレポート、reportは 長めのレポート、bookが本です。(意外なことに、articleが1番よく使われる文書 の形式です。)この3つ の頭に"j"をつけたのが、日本のTeXの文書形式(jarticle, jreport, jbook)、"t"をつけたのが(日本の)縦書き用文書形式(tarticle, treport, tbook)です。用途にもよりますが、多くの方はjarticleを選んでおけ ばいいでしょう。

次の例では、「文書の形式」に横書きの小文書であるjarticle、紙のサイズにA4、ベースの文字の 大きさに12ptを指定した使用例です。(私のレポートは横書きです:-) )

\documentclass[a4paper,12pt]{jarticle}

a4paperは紙のサイズにpaperをつけただけという文法です。12pt (ポイント) という文字 の大きさは、TeXでは見やすいサイズ(&私が好き好んで使うサイズ)なのでこ うしたのですが、pt というあまり聞いたことのないかもしれない単位もあり、 ちょっと大きさとしてピンと来ないかもしれません。

しかし、ワープロソフトをお使いであれば、pt との付き合いも長いはずです。 たとえば、(少なくともWord 2000 では)文字の大きさのデフォルトは10.5 pt です。勘の鋭い方はこれで気がついたかもしれませんが、Word の文字の大きさ の指定もまた、pt で示されていたのです。文字の大きさを選ぶツールバー上の プルダウンメニューに、10.5 と表示されてましたよね。(下の図の真ん 中)この単位が pt (ポイント)だったのです。

MS Word のフォントサイズ

ただし、同じptでも、TeXのptは普通のDTPのptよりも小さいため、10pt(た ぶん無指定でこの大きさ) は予想以上に小さく見えるはずです。そのため、12pt くらいが1番見やすいのではないでしょうか。

本文を書こう!

次は\begin{document} ... と思いきや、最後の行の\end{document} も同時 に取り扱ってしまいます。\begin{なになに}と\end{なになに} ・・・そうです。 これら2つで、1つのペアを作っているからです。

一般にTeXでは、\begin{なになに}と\end{なになに}で囲まれた領域を「(なに なに)環境」といいます。もうちょっと簡単に言いますと、「\beginから\endまで の範囲は「なになに」としての領域である!」というわけです。

たとえば、\begin{quote}から\end{quote}であれば、囲まれた範囲が quote(引用)としての領域ですし、\begin{table}から\end{table}であれば 、table(表)としての領域となります。今回の\begin{document}から \end{document}だとdocument(文書)としての領域となります。この「環境」の中では、たとえば「表」特有の 命令を使えたり、quote(引用文)として、文書がインデントされたりします。 ですから、今回のdocument(文書)の場合だと、 「本文を書くことのできる領域」 ということになります。

一般に、すべてのLaTeX文書の構造は、次のようになります。かっこの中に、仕 組みについて書き込まれています。

\documentclass{.....}

(TeX文書すべてに適用される設定を書き込む領域。 「プリアンブル」という。)

\begin{document}

(本文と、それらに直接適用する命令はここに書く。)
\end{document}

というわけです。ですから「こんにちは\TeXさん・・・」という文書が \begin{document}と\end{document}で囲まれた領域にあったのです。「プリアン ブル」に書く命令については、今の段階では説明しません。

さて、ここまで異様に長いTeXの命令を駆使してきました。少々面倒でしたね。

しかし、我々には強い味方がいます。 \documentclassと\begin{document} / \end{document}の構造はほとんどすべ てのLaTeX文書でみられますし、\documentclass の文書形式やオプション([ ]の 中身)もそれほど変わりません。こうした長くてよく使われる定型文は 長いTeXコマンドの対処法で述べた、 PhraseBOX などのソフトに登録してしまいましょう。これで、TeX文書を新たに 開いたときに、即コピー&ぺースト(貼り付け)で対処できちゃいます。これで 楽勝ですね。

EasyTeX の場合は手書きしなくて大丈夫です。 [TeXテキスト(T)] -> [文書クラス(D)]と選んでいきます と、次のようなウィンドウが出ます。

「文書クラスの設定」ウィンドウ

上の図とは設定が違いますが、タイトルと著者名の欄を空欄にした上で、 「タイトルを付けない」をチェックしましょう。「用紙サイズ」はa4j(a4paper という項目がないが、この指定でも大丈夫。)、「文字サイズ」はとりあえず12 ポイント、「使用する(パッケージ?)」は何も指定しなくて大丈夫でしょう。 あとはOKを押せば、自動的に出来上がります。

他の命令も見てみよう

他にも命令が2つありました。1つめは、後で見ていくするつもりですが、文字 を太字(正確にはゴシック体)にする命令です。もう1つはEが半分下に下がった、 TeXのロゴを出力するためのものです。

では、保存して、この文書をTeXにかけてみましょう。

TeXで処理しよう!

では、この命令たちをTeXに解釈させ、文書を作り上げましょう。なお、エラー が出た場合は、とりあえず私のホームページのTeX文書をコピー・貼り付けして 試してみます。これでうまくいけば、あなたの文書中の命令にどこかミスがあったことに なりますので、変なところを訂正します。

「メモ帳」等の普通のエディタの場合

「メモ帳」に限らず、一般的に通用する方法です。

2種類の方法があります。1つ目は前に紹介した方法ですが、MS-DOSプロンプ ト(コマンドプロンプト)から次のコマンドを実行します。(TeX文書が「マイ  ドキュメント」にtest.texという名前で保存してある場合)

cd C:\"My Documents"
platex test.tex
dviout test.dvi

最初の命令はひとまず無視してください。2番目のplatexでTeXに\documentclass 等の命令を解釈させます。エラーが出なければ、3番目のdvioutコマンドで、命 令を解釈した後の完成品である、DVIファイルを見ることができます。

2つ目は、 角藤版pTeX配布サイト にあるddrp-platexを使うことです。インストール方法は簡単で、ファイ ルをどこか好きな場所に置いて、ショートカットを作っておくだけです。よくわ からない方はファイルを「マイ ドキュメント」に置いて、そこからショートカッ トをデスクトップに作っておけばいいでしょう。

あとは、TeXファイルをddrp-platexにドラッグ&ドロップして、エラーが出 なければxを入力し、Enterキーを押します。TeXファイルと同じ場所に、完成品 のDVIファイルができますので、それをダブルクリックして、うまくできている かどうかを見ます。

EasyTeXの場合

前にも述べましたが、メニューバーにある[コンパイル(C)]を押せば完了です。 キーボード派はAlt + C(Altキーを押しながらCを押す)と押しましょう。マウ スを動かすのは面倒なので、できるだけAlt + Cでコンパイルすることをお薦め します。

エラーが出なければ、完成したDVIファイルを見ます。こちらは、[DVI (D)]をクリックします。しかし、これもマウスよりは Alt + Dの方がストレスなくできるでしょう。

エラーが出た場合は「エラーの検索」ボタ
ンを押します。すると、直接関係のあるエラーメッ セージが出てきます。なお、LaTeXの出力したメッセージをすべて見たい場合は 「ログファイルの表示」ボタンをクリックして、ログファイルを見てみましょう。

最初にメモ帳で作ったときよりも、ずっと早く簡単に終わっていることに気が付か れるでしょう。ただし、EasyTeXの方も、今後のために「「メモ帳」等の普通のエディタの場合」の方法も試しておくようにしてください。

WinShell の場合

前にも述べましたが、pLaTeXでコンパイルする場合はLaTeXボタンを押 します。エラーが出なければDVIボタンを押します。エラーが出たら、下の欄にエラーメッセー ジが出力されてますので、それを参考にしてください。

最初にメモ帳で作ったときよりも、ずっと早く簡単に終わっていることに気が付か れるでしょう。ただし、WinShellの方も、今後のために「「メモ帳」等の普通のエディタの場合」の方法も試しておくようにしてください。

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