\section で文を整えよう!

見出しを作ろう

整った文書を作ろうと考えるとき、多くの方は「見出し」を作ることを思い つくでしょう。そんなときに使用する命令が\sectionです。さらに細かい見 出しを付けたいときは\subsection、もっと細かいものなら\subsubsectionを 使います。jbook等では、章見出し用の\chapterも使えます。

基本的な用法は、\section{(見出し名)}というシンプルなものです。 (\subsection以下同様です。)具体的には、次のように利用します。

\section{他人に厳しい免疫}

\subsection{自己と非自己}

免疫とは、例外をおそれずにいえば、体内に入ってきた細菌やウィルス(非自己)といった自己にとって危険な要素を徹底的に排除しようと試みる際に、脳以上に主導権を握っている生体防御機構である。

出力結果は次の通りです。(ただし、この前に1度\sectionを使っています。)

\section, \subsection の出力結果

上付きの数字(3)は、上のコードには含まれていない「脚注の命令」によるもの なので、気にしないでください。

さて、上の例では一度\sectionを使った後に、2度目の\sectionを使っていま す。ここで注目したいのは、筆者は番号や大きさの指定をし ていないということです。にもかかわらず、TeXは「2度目の\section」 と解釈し、2という数字を見出しの前に出し、大きさも\sectionらしい大きさに してくれているということなのです。(この点はTeXを扱うときに重要となるので、 後でじっくり説明します。) \subsectionは\subsectionらしく、 \sectionよりこじんまりとした見出しを出力しています。

番号を付けたくないときは、\sectionの後ろにアスタリスク(*)をつけて、 \section*{(見出し名)}と使います。

最後に・・・目次を出力する命令は\tableofcontentsです。 \tableofcontentsと書くだけで、\sectionや\subsectionのあるページ数を調べ て、自動的に目次を\sectionの見出しから構成してくれます。これはかなり便利 です!ただし、この命令を使う場合は、最低でも2回以上LaTeXにかける必要があ ります。

\sectionで考えるTeXとワープロソフトの違い

見出しの重要性 

ここでは、見出しという概念を、TeXとワープロソフト(ここではWord 2000 を 用いて示します)とを比べながら、見ていこうと思います。(お急ぎの方は、次 に進んでOKです。この部分ではこれ以降一つも新たな命令は出てきませんのでご 安心ください。)

ここでは、あらためて見出しの重要性と有効性について考えてみたいと思い ます。

まず、既に述べたように、「見出し」は文章の区切りを示し、同時に整えて くれます。また、見出しは区切られた文書のテーマや要約を示してくれる役割も もちます。

そしてもう1つ重要なのは、見出しをアウトライン として活用できることです。 見出しは文書の一部のテーマないしは要約を示していますので、 ということは、「見出し」を並べていくだけで、文書全体の要約が出来上がって しまうわけです。

さて、あなたは文書を0から書き始めたとします。そのとき、あなたの頭の中 にあるのは、文書のどんなイメージでしょうか。

小説や随筆であれば、頭の中にあるのは一寸先を懐中電灯で照らしたような、すぐ 前のイメージしかないかもしれません。しかし、実験レポートなどの論理的な文書で あれば、多くの場合、既におおまかな地図を持って作業を始めようとしているこ とでしょう。(例えば「原理」->「測定方法」->「実験結果」など。)ま た、そういった流れが作れなくとも、あいまいながらも地図(文書の流れ)から作ってい くと、論理的文書を作るのに楽な場合も多いでしょう。その地図というのは、まさに文書全体の要約 なのです。というわけで、部分の要約である「見出し」のみを先に組み 立て、文書の全体の要約(アウトライン)を構築してしまうことは、理にかなっていることでしょ う。(こうした、上から下へ、抽象から具象へ降りていくやり方を「トップダウン」 と呼ぶことがあります。)

TeXとワープロソフトでアウトラインを作ってみる

アウトラインをつくりはじめているケース

では、TeXとワープロソフトでのアウトライン編集の様子を比べてみることに しましょう。

まずは、文書の作り始めのときのアウトライン作りです。TeXの場合はその点 では非常に簡単です。\section、\subsectionを次のようにひたすら並べていく だけです。(順番があいまいな場合でも、後から並べ直せばいいので、あまり気 にせず並べてしまうといいと思います。)

\section{はじめに}
\subsection{計算機でのシミュレーションを行う理由}
\subsection{気をつけなければならない点}
\section{実験の目的}
\section{実験の原理}
\subsection{理論的原理}
\subsection{実験で得られた原理}
...

あとは、\sectionや\subsectionの間に文章を挿入していくだけです。 \sectionの出力形式(たとえば「(i) なになに」のようにして欲しい、等)に要 望があるかもしれませんが、番号を自動的に割り振ってくれますし、レイアウト も製本並の出力ですので、レイアウトに関しては、かなりの部分を「TeX任せ」 にできます。

書くべきことは、\sectionや\subsectionという名の「論理情報」です。これ は節なのか副節なのかということを決めていくだけなので、デザインセンスのな い人間でも少ない労力できれいな印刷物を作れてしまいます。私の作った文書が 「本みたいだ」と複数の人から言われる状況は、Wordしか知らない一昔前では、 とても考えられませんでした。・・・それはともかく、論理情報のみを考慮して いくので、純粋にアウトラインのみを考えていくことができるのです。TeXや HTMLのようなマークアップ言語は、「論理とスタイル(レイアウト)の分離」が 重要だとされています。TeXは、その点では十分優れていると思います。

次に、ワープロソフト(Word 2000)の場合です。地味なせいか、「便利な機能」 に過ぎないとみなされているからか、Officeの公式 マニュアル以外では、オートシェープ機能は後回しにして紹介されています。 Web上を検索してみると、アウトラインモードは中級者向けのWord講習会やWord 入門書の「応用編」としてとりあげられているに過ぎないようです。(筆者に至っ ては、恥ずかしながらTeXとワープロの機能を比較するために、Word 2000の機 能を研究してみて、ようやくアウトライン表示の機能に気づいたという体たらく です。)つまり、Word 2000の中では、そこそこマイナーな機能として認識され ているようです。

しかし、実際に使ってみるとかなり便利です。私の周りで、この機能を使っ ている人を見たことがないのが不思議です。(オフィスではごく一般的だと信じ たいのですが。)TeX入門書ですが、少しスペースを割いて紹介することにしま す。

Word 2000 の場合、メニューバーの[表示(V)] -> [アウトライン (O)] でアウトライン表示にできます。見出しがいるくらいの文書(5ページ以 上なら、おそらくいるでしょう)を作る場合はほぼ絶対に使うので、Ctrl + Alt + O というショートカットを覚えておきましょう。また、(少なくとも私 の周りの)Wordユーザーがよく利用する印刷レイアウト表示は [表示(V)] -> [印刷レイアウト (P)](またはCtrl + Alt + P)でできます。

次の図は、アウトライン表示で見出しを作り、印刷レイアウトに一時的に戻っ て中身の文書を書いた例です。見出しを作る分には、マウス(私の場合はキー ボードがメイン)を使って十分快適に作れます。多少動作が重いのは、許容範 囲かも。

MS Word 2000 のアウトライン表示

印刷レイアウト(=ほとんど出力結果)に戻るとこんな感じです。

印刷レイアウト

見出しに番号を付ける設定はしま したが、見出しと段落の間隔やフォントの設定を「スタイル」の機能でしていな いと、修正が欲しいレイアウトになってしまいます。いったん「スタイル」 ([書式 (O)] -> [スタイル (S)] でした)で設定してしまえば、ある程度論 理構造に目を向けることができるかもしれませんが、<<「スタイル」を使って >>きちんと設定しないと、見出しごとに統一された、なおかつきれいな文 書が出力できないでしょう。 (Word 2002でこのあたりが改善されたかどうか、 近日中に調べる予定です。)ともあれ、レイアウトには多少気をつける必要があ りそうです。

文書の編集中にアウトラインを確認するケース

一方、文書編集中にアウトラインを確認する機能に関しては、ややWordの方 が上かもしれません。Word 2000なら、複数の人と文書を扱う際に、一部を別文書 にしたりなど、様々な工夫が施されているからです。しかしLaTeX陣営も負けてはいません。 TeXの場合は、TeX文書をしたためるのに使うエディタ +マクロのアウトライン機能に依存することになります。Meadow + YaTeX + RefTeX なら、C-c =で各\section等でできた、きれいなアウトラインが見られますし、 好きな場所へジャンプすることも可能です。

WinShellの場合は、Project という概念で文書を管理することで、アウトラ インをじっくり見たり、必要に応じて別の\sectionへとんだりして、最大限に活 用できます。(よくわからないと思いますので、次の説明を見ながら、「プロジェ クト」の輪郭を理解していってください。)

まず、WinShellを起動したら、[Project] -> [New]で新たなプロジェクト を作ります。すると、Insert projectnameウィンドウが出てきます。まぁ、「foo.texというファイル名でTeX文書を作るプロジェクト」 とでも考え、fooと名づけておきましょう。ちなみに左にプロジェクトウィンド ウ(スペース)が出てない場合は[Opsions] -> [View] -> [Projectspace]でプロジェクトスペースを出しておきます。

プロジェクトを作ると、fooというプロジェクト名がぽつんと表示されている ことでしょう。これをダブルクリックすると、Files とTable Of Contentsの2つ が出てきます。でも、2つともダブルクリックしても、"no .....!"と 書いてあるでしょう。

プロジェクトスペース

そこでメインの(普通は「新規の」)TeXファイルを作り ます。まずはFile -> New (Ctrl + N)で新たにファイルを作ってください。 それを即座に[File] -> [Save as...]で保存してしまいます。(ここでは foo.tex) そしてFiles の下の"no project-files!"を右クリックして、Add -> Main-TeX-Documentsでfoo.texを指定します。これで、左のプロジェクト スペースのfoo -> Files をダブルクリックしたところにfoo.texができている はずです。

ここで、foo.texにアウトライン(先ほど示したような、\section等の列)を 書いてしまいます。そして、目次を出す、出さないにかかわらず、 \tableofcontentsを適当なところに書いてしまいます。(目次を使わない場合は 最後のコンパイル時に消してしまってかまいませんので、とにかく書いてくださ い。

(下では[Options] -> [Syntax-Hilighting] でできる、TeX命令の色付け 機能を利用しています。ただし、日本語は未サポートなので、一部日本語に色が ついてしまっています。)

途中経過

あとは、LaTeXボタンを押して、コンパイルします。するとDVIファイルと一緒に、目次 ファイル(tocファイル)ができます。WinShellはこれを見てプロジェクトスペー スにアウトラインを作りますので、このときTable Of Contents以下にアウトラ インが出来上がっているはずです。

アウトライン完成!

あとは[Project] -> [Save as]でプロジェクトを保存します。次回WinShell を起動したときは、[Project] -> [Load] でプロジェクトファイルを開き、 foo -> Files -> foo.tex の順にダブルクリックしてTeXファイルを開き ます。WinShell はプロジェクトとしてTeXファイルを扱うと便利ですので、短い 文書でない限りは今の手順でプロジェクトから作っていくことをお薦めします。

TeXとワープロソフトのいずれの場合でもアウトラインの編集に十分な環境が 整っています。ただし、安心してアウトラインの論理構造に集中できるのは、今 のところTeXが勝っているようです。文書の編集中にアウトラインを考えたり、その機能を生かして複数の人と共同作業で文書を作成する際には ワープロソフトのほうがいいかもしれません。

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